海外オンラインカジノのスロットは勝てば勝利金を受け取る事ができますが、これは賭博法で違法に当たるのでしょうか?よく似たゲームであるパチスロはなぜ問題ないのか、要因となる事項を取り上げ比較して解説。
日本国内でリアルマネーを賭けると『賭博』
日本では、インカジ、闇カジノ等の店舗やマンションの部屋などでお金を賭ける行為を行った場合、賭博罪に当たります。刑法185条に賭博罪に関する規定があり大きく分けると、初犯などにおいて適用される単純賭博罪、時にはそれより重い罪の常習賭博罪、カジノやバカラ賭博場を開いたことによる賭博場開張等図利罪があるのです。
日本では認められていない賭け遊戯にリアルマネーを賭けてプレイする事は禁止されています。また胴元の罪はより重く、よく闇カジノが警察に摘発されています。一方で、日本人がギャンブルが合法のラスベガスやマカオでカジノでお金を賭けてスロットで遊んでも逮捕されるという事はありません。
また海外のサービスであるカジノのオンライン スロットを日本にいる人が利用した場合はどうなのか、誰もが気になるところです。しかし、カジノのスロットゲームが違法かどうかははっきりとした答えがないグレーゾーンと言われています。
オンカジ自体は合法的に運営されている
ベラジョンカジノは違法なのか?日本人カジノプレイヤーの多くが利用しているオンラインカジノサイトは、マルタやキュラソーといった運営国のライセンスを取得して合法的に運営しており、その存在自体に違法性は全くありません。通常、オンカジサイトは世界中にユーザーがおり、多くの言語でサービスを提供しています。
このような海外のオンカジサイトでプレイする事を明確に禁止している国では、その国からはアクセスできないようブロックされている事もあります。
オンラインカジノで実際に賭けた人が逮捕された事例とその後
2016年、オンラインカジノ愛好家にとってショッキングな事態が勃発しました。京都府警がオンラインカジノを利用したとして男性数人を単純賭博罪で逮捕したのです。この人達はオンカジのチャットやSNS等で身元が分かるような発言をしていたとの事。(スマートライブカジノ事件)
確かに日本国内で賭け事を行ったのだから賭博罪に該当しても不思議ではありません。 しかしながらその後の過程で、男性のうち1人が略式起訴を蹴って本格的な刑事裁判に臨む姿勢をみせたところ、検察は最終的に不起訴という判断を下したのです。
オンラインカジノの賭博場(開帳した場所)が海外にあり、いわゆる胴元が逮捕されないのに利用者だけの逮捕は不当であるという意見、現法では海外のオンカジを利用する事についての違法性が明確ではない事から、不当性や公平性を鑑みた結果が不起訴という判断につながったと考えられます。
現時点でオンラインスロットにリアルマネーを賭けて逮捕された事案はこれ以降ニュースなどで耳にはしませんが、日本国内にいながらオンカジスロットでリアルマネーを賭ける行為は実質的に『グレーゾーン』と言わざるを得ません。
2022年6月、岸田首相が「オンラインカジノは違法」と発言
2022年6月、国会で岸田首相が「オンラインカジノは違法であり、規制が必要」という主旨の発言をしました。
これは4月に山口県阿武町がコロナ関連給付金4630万円を、1人の男性の預金口座に誤って振り込んでしまった事件に事を発します。この男性が町への返金を拒否した理由が「オンラインカジノで全部使ってしまったから」というもの。
これを受けて、多くの日本人がオンラインカジノを利用している現状について国会で質問をされた首相が答えた内容が「オンカジは違法」というものでした。
今後、海外のオンラインカジノの利用について正式な規制がかかる可能性もあるかもしれません。
パチスロは賭博行為の対象外
しかし疑問に思うのが、パチンコやパチスロの換金です。普通に考えればお金のやり取りがあるわけで刑法に規定されている賭博罪に該当してもおかしくはありません。
これに関する議論は多くのウェブサイトでも取り上げられていますが、ここでは要点だけを簡単に紹介しておきます。
パチンコ・パチスロの配当の換金は、『三点方式』により賭博罪の要件から除外されています。
これは客とホール側が直接現金のやり取りをするわけではなく、景品交換所という第三者を交えることで法律上の賭博罪における要件から脱しているわけです。
少し突っ込むとすれば、パチスロの遊戯を型式試験で統括しているのが一般財団法人保安通信協会でこの組織は国家公安委員会の指定試験機関、つまり最終的には警察がパチンコ・パチスロにおける可否を握っていることになるのです。
あくまで推測の域ですが、パチンコ・パチスロ産業は『レジャー白書2019』によると市場規模だけで約20兆円を占め、一大産業として成り立っています。
パチンコはオワコンなどと言われていますが、新台スロットは続々公開されますし、巨大な産業である事に間違いはありません。経済的なことが絡み、これらが賭博行為の対象外となりうる大きな理由でしょう。
行政側もパチスロでの射幸性を抑えるよう規制を課し、ギャンブルから娯楽への変換を図っているようではありますが、利用者の観点からすればオンラインカジノのスロットもパチスロも同じで、お金を賭けて遊び、運が良ければ儲ける事ができるギャンブルに変わりはありません。